足指のP
獣の甘噛みにも似ていた。
独占欲が強い男の、所有の証にも見えた。
カカシは、イルカの身をあますところなく貪っていく。
全身に紅の花が散る。
カカシはイルカを仰向けに寝かせたまま足を割らせ、右足を高く持ち上げてその指の先までしゃぶる。
「イルカは右足の親指が感じるんだよね」
イルカは身をしならせ、足を突っ張らせる。
確かにイルカは、カカシの言うように右の足指によって感じる。
性器や乳首とは違うイルカ特有の性感帯らしい。
「イルカだけのちっちゃなP、可愛がってあげないとね」
そんな表現まで、する。
性器を扱うようにカカシはゆっくりとねぶり、舌を這わせる。
「あ、はあっ、あ、ん」
イルカは黒髪をゆらして、首を振る。
男性器は勃起して、先端を震わせていた。
「大きいほうのPが、怒ってるね」
からかうようにカカシは言い、それをこする。
刺激はそんなに強いものではないのに、イルカはすぐに達しそうになる。
「だ、だめ、カカシ、さんっ」
「いいよ。いって」
足指から唾液の糸を引きながらつかのま口を離し、赤く染まった唇でカカシは笑う。
手の動きを早められ、イルカはあっけなく射精した。
「両方のPが、いっちゃった?」
カカシはイルカの唇に口付ける。
「オレのも、ね」
カカシはイルカの手を取り、自分のモノに導く。
「オレは一つだけしかないから」
「……だけって」
カカシの、たいしたことのないような口ぶりがイルカには不満だ。
足指へのカカシの冗談はおくにしても、イルカと比べてカカシのそれは軽い恐怖感をあおるほどに大きい。
赤い唇のまま、カカシは妖艶なまでの笑みを見せる。
「あなたが好きだから。あなたを愛しているから、こうなるんです。この大きさが、全部、あなたを想っている分」
ためらいもなく、イルカへの愛を言葉にする男。
ためらいもなく、そそりたった性器をイルカの肛口に当てる男。
「や、あっ。ああっ」
圧迫に、イルカの呼吸が乱れる。
「ほら。ちゃんと、息を吐いて」
なだめるようにイルカの髪を撫で、カカシは、ゆっくりと、雄をイルカに挿れていく。
時間をかけて、イルカと一つになっていくのを実感するのが好きだ、とカカシは言う。
「気持ちいい。イルカの中、すごく気持ちいいよ」
繋がったまま抱きしめられ、イルカの快感もまた深まる。
逞しい背中に腕を巻きつけて、肌を密着させる。
セックスの官能だけではない。
イルカを蕩かすような快感は、セックスによるものだけではなかった。
この男が。
カカシだけが。
与えてくれる快感。
おそらく。
カカシによってだけ。
イルカの右足の親指も、性感帯になる。