昼間、辛いことがあったのか。
言えないことを、堪えたのか。
消しても消しても追ってくる、過去の記憶か。
体調を崩しているのか。
イルカは、時折、うなされる。
そんな夜。
昼間は、こどものように、イルカに甘えてばかりのカカシは。
ただ、そっと、手を握りしめる。
ここに居るから。
何も出来ないけど。
そばに居るから。
イルカの呼吸が落ち着いたのを確認して、カカシも眠る。
手を、握ったまま。
朝、目を覚ますと、イルカが繋ぎあった手に、照れながら文句をつける。
カカシは、のったりと言う。
「手を握ると、安心するんです」
ここに居るから。
ずっと繋がっているから。