カカシの手が好きだ。
その指が好きだ。
「指? 指より、こっちのほうが好きでしょ」
唇の両の口角を上げ、からかうような、甘いような声で言う。
こらえきれない質感。
イルカは、自分の指を噛んで、声を出すことを耐える。
「いいかげん、イイコエを聞かせてくれても、いいのになあ」
腰をよじり、より強く刺激を与え、カカシはイルカを追いこむ。
そのかたさ、がイルカのより感じる部分を抉る。
イルカは、決して声は出さない。
自分の指を噛みきろうとも。
「ほんと、強情なんだから」
語尾が、ほんの少し、揺れる。
カカシも、余裕ばかりを見せてはいられないようだ。
激しい動き。
挿れて。
突いて。
挿れて。
突く。
雄を飲みこむだけの器物にイルカはなり、それが、たまらない快感になる。
その快感は、幸福感と錯誤するほどに。
物体としての情熱が過ぎさると、カカシは、ひどく優しく、イルカの皮膚を辿る。
カカシの指が触れていくたびに、イルカは柔らかな生き物になる。
イルカは。
カカシの手が好きだ。
その指が好きだ。
自分を殺し、生かす、それが。