カカシが眠りこんでいる脇で、イルカは瞳を閉じることが出来ずにいた。
情事のあとの、甘い名残。
愛しい情人。
月の明かりに照らされるためにあるような、銀色の髪。
繊細に造りあげられた、端麗な顔立ち。
白く、指にすべらかな皮膚も、中性的であるのに、カカシは誰よりも強い雄だ。
イルカに愛情をあらわすにしても、一直線に征服してきた。
当然のようにイルカの身を拓いた。
自身、雄であることを疑ったことがなかったイルカは、カカシの雄に圧倒されて、歓喜さえも覚えている自分に驚愕したものだ。
不思議なことに、驚愕は嫌悪にも憎悪にもつながらず、幸福感をもたらした。
酔い、痺れるような。
愛。
イルカは、カカシを愛している自分を知っている。
「あんまり、見ないでください」
眠っているとばかり思っていたカカシが、静かな声を出す。
「起きてらしたんですか?」
「少し、うとうとしましたけどね。あなたに、そんなに見つめられちゃ、どうしても起きちゃうでしょ?」
カカシはイルカの身を腕に抱きこみ、イルカの手を自らの雄に触れさせる。
誰よりも強い雄である部分。
これほどの硬度と量感を持てるものだと、男であるイルカも考えていなかった。
そして、それを内奥に導いて快感を得る生き物に、自分がなりうるなどとも。
「……いいですよ」
目を閉じて、問われる前にイルカは答える。
カカシは、イルカの唇に、己の唇を当てる。
「あなたが辛くなるでしょう。寝ましょうね」
短いキスをおえたあと、カカシは煙るように笑う。
誰よりも強い雄でありながら、誰にも真似できないほど優しい。
「このままのほうが、辛いです」
イルカは、カカシの首に腕を巻きつけた。
今は、優しさよりも雄の猛々しさが欲しい。
銀髪の上忍は優美に微笑んで、イルカの肌に指を這わせた。
情人。
この男は、自分だけの愛しい情人。