武器には、いろんな種類がある。
その一族は、美貌を刃とした。
容貌の美しいもの同士を交配させ、さらに美しい者を産みだし、その美しさで人を惑わせる。
そのなかでも、絶世とされる両親から生まれたカカシは、忍の才まで天与されていた。
それが為に木の葉の里に預けられ、結果として、彼は一族最後の生き残りになってしまった。
―先生。なぜ、オレは顔を隠さなくてはいけないの?―
―忍者は隠れて生きるから、に決まってっからだろ。―
―でもでも、みんな、隠してないよ?―
―おまえが、まだ身体もちっこいくせに、強すぎっからだよ。集中攻撃されたんじゃ、かなわねえ。隠せるもんは隠しとけ。―
ぎゅっとカカシの口布を引きあげながら、金髪の師が、ほんの瞬間、泣きそうな顔になったことを、幼い弟子は見逃さなかった。
理由はわからなかったし、問い返すことも出来なかった。
ただ、自分は顔を隠しておかなければならないのだ、とカカシは心に刻みこんだ。
口布を引きあげて。
顔と一緒に、感情も隠して。
だけど。
サスケ。
オレにもおまえにも、大切な仲間ができただろう。
おまえが、欲しくてたまらないものは、他ならない、この里のなかにあるんだよ。
言葉で、伝えることが出来なかった。
説得することが、出来なかった。
口布を引きあげて、カカシは戦闘に赴く。
ならば、行動で教えてあげるから。
大切なものを守るということを。
みんな殺されてる、オレが教えてあげるから。
―カカシさん!―
自分の顔を見て笑ってくれる、存在を守るということを。