ナルトがカカシに尋ねた。
「カカシ先生は、なんでおれが帰ってくるのが、わかったってばよ?」
いくらか自分の高さに近づいてきた視線に、カカシは右目を弓なりにした笑みを返す。
「五代目から聞かされたからね〜」
「なあんだ。里に入るなりカカシ先生がいるから、おれ、カカシ先生ってば、やっぱり凄いって思ったってばよ!」
「凄いのよ、オレは」
カカシはナルトの頭を撫でる。
ナルトは、こども扱いするな、と怒ることはなく嬉しそうに笑った。
綱手と自来也は気付いたであろう。
カカシの、黒髪の恋人は知っている。
里にいるときは、毎日、慰霊碑に詣でるのと同じように。
カカシはそこで、帰る人を待っていた。
イチャパラを手に、実に呑気そうに。
一度だけ、カカシはイルカに言った。
ー帰ってくるってわかっている者を、待つのは楽しいですよ。ー
だけど、待っている時間より、会えた瞬間のほうが嬉しいのは当然のこと。
待っていたよ。きみを待っていたよ。