醜い父と子

カカシの銀色の髪を撫でながら、サクモは悲しみを目にたたえて言う。
「カカシはお父さんに似ちゃったね。かわいそうだね。ごめんね」
カカシの父サクモは自分が醜い男であることを恥じ、世界のすべてに怯えていた。
サクモの語は続く。
「お母さんに似たのは黒い目だけだねえ。この目はほんとうに綺麗だね。カカシのお母さんはね、美しくて、それは強いくの一で、優しい優しい人だったんだよ。こんなお父さんのことを好きだって言ってくれたんだよ。カカシも、お母さんみたいな人と会えるといいね」
幼いカカシは、自分が生まれてすぐに亡くなったのだという写真でしか知らない母を思い浮かべる。
お母さんみたいな人に会えたらいいなあ、と願う。
こんな自分でも好きになってくれたら、いいなあと思う。

「イルカ先生は、ほんとうに綺麗ですね」
イルカの黒髪を弄びながら、カカシがうっとりと言う。
イルカは、あえて何も言わない。
百万回も、カカシが美貌の青年であることを告げた。
だが、カカシは、柔らかい笑みを浮かべるだけだった。
優しいから。
イルカ先生は、優しいから。
「優しいイルカ先生に会えてよかった」
幸福そうに、カカシは言う。
桜の花が開くみたいな美しい笑顔で。

はたけサクモ。
はたけカカシ。
彼らほど美しい容姿をした者は、木の葉の里、火の国、いや、大陸中をさがしてもそうは居ないことを、彼ら以外の皆が知っている。

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