彼らは、イルカマニアと呼ばれていた。
かげからそっとイルカを見守る、「きみの元気は、みんなの元気」という、どこかのCMソングみたいな集団である。
そんな彼らに、衝撃が走った。
イルカに恋人が出来たのだ。
いや、イルカが幸せなら、それはいい。
けれど、相手が、あの写輪眼のカカシなのだ。
忍の実力こそ確かだが、私生活でいい噂を聞いたことがない、あの最低男。
「かげに隠れて見守る」の鉄則を破り、イルカマニアは、強力な代表を本人に接触させた。
「イルカ先生、カカシ先生なんかの、どこがいいんだってばよ!」
そんな代表に、イルカは一言、答えたのだった。
「顔」
代表は、へにゃりと力を失った。
「そりゃ、カカシ先生は格好いいってばよ……」
代表から報告を受けたイルカマニアの面々も、黙るしかなかった。
そして、かげに隠れて、イルカの幸せを祈る活動に戻った、ということである。