ひとりたのしみ

イルカは、自らの後口に指を突きたて快感を貪った。
口の端から唾液と乱れた声が漏れる。
そのどちらもが甘い。
「だ〜めですよ。独りで楽しんでばかりいるのは」
マントを翻す音と、優しい声。
「かかしさん」
幼児のようにあどけない声音でイルカは呼び、足を大きく開いて秘所を示す。
「いれてください」
「困りましたねえ。あなたがこんなに淫乱になるなんてね」
呆れたような嘆息を洩らしながら、声に潜む満足感を消すことは出来ない。

はたけカカシが六代目火影を継承するにあたって、唯一、出した条件。
うみのイルカを自分だけのものとすること。
カカシはイルカを監禁し、性具とした。
イルカは、それを受け入れいてしまった。
病んだ部分の全てをイルカに注ぎ、対外的には、カカシは歴代の火影をも凌ぐ里長だと言われている。
三代目、四代目、五代目の、良いところを総取りした火影である、と。

カカシに貫かれ、イルカはあられもない声をあげる。
「イルカ。オレだけの、オレだけのもの」
腰を振りながら、熱に浮かされたようにカカシは繰り返す。
喘ぎだけを返しながら、イルカは、そこだけ冷めている脳の隅で呟く。
もちろん、俺はあなたのもの。
だけど、あなたも俺だけのものだ。
ずっとカカシを愛していた。
からだを繋ぎながら、その存在を占有できる手段が無いことに焦れていたのは、イルカのほうだ。
こうなって始めて、イルカは心の平安を得たのだ。
閉じ込められたのは、果たしてどちらだろう。
しかし、イルカはカカシに告げはしない。
それは、イルカ独りだけのひそやかな笑みに隠された楽しみ。

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