休日くらい
うみのイルカは、独身男の一人暮らしとして想像されるとおりの、むさくるしい生活を送っている。
だが、だからこそ、たまの休みくらい、ちゃんとしたいと思うのだ。
ほんとうに取っていいのか? とドキドキしてしまう、ものすごく久しぶりの三連休、しかも連日、晴天に恵まれている。
洗濯、掃除、布団干し。料理。家事をこなすのも良い。
やらなきゃなあ、と思いつつ後回しにしているデスクワークをやっつけてしまうのも良い。
行楽地に出掛けたって良いのだ。
けれど。
イルカは、汗ばんだ身を起こし、くくっていない長い黒髪を掻きあげ、やるせないため息をつく。
隣には、いっそ腹が立ってくるくらい、きれいなからだときれいなかおをした男が、すやすやと眠っている。
寝台の周囲には、ファーストフードやコンビニの空き箱や袋が散乱している。
爛れている。思いきり爛れている。
休日前夜からなだれこんできた男と共に、抱きあいたいだけ抱きあい、眠りたいだけ眠り、食べたいだけ食べる(しかもジャンクフードばかり)、爛れた時間が続いている。
こんなに天気もいいってのに。
悔し紛れに、イルカは、カカシの耳たぶを摘まんで引っ張った。
「痛い。痛いって」
上忍のくせに、情けない声をあげて、カカシが瞼をあげる。
そして、イルカの顔を見るなり、うっとりと微笑む。
「目を開けたら、いつでもイルカ先生が見えるなんてしあわせー」
内容にたがわない、とても幸せそうな声と表情で言い、カカシはイルカを抱きこんだ。
ああ。ほんとに、もう。
ちきしょう。俺だって幸せだよ。
悔しいので音にはせず、からだだけ、素直にカカシに従った。
三大本能のみに支配された三連休は、まだ続く。