はたけ親子記念!(笑)

『おとうさんには、ないしょ。』









オレの名ははたけサクモ。

木の葉の忍びだ。『白い牙』なんて呼ばれ、少しは名の知れた忍びだ。

そんなオレにも可愛い息子がいる。

しかも可愛いだけじゃない!天才だ!て・ん・さ・い!


忍びの才能に溢れている。アカデミーを5歳にして卒業したんだから。もしかして、木の葉史上一位じゃないかってくらいの天才なんだ。


そのオレの息子は6歳で中忍になった。なんて、誉れ高い子なんだろう!出来るなら、色々な人間に自慢したいくらいだ。


そんな、目に入れても痛くないくらいに可愛いオレの息子と、今日、初めて共に任務を行う。

まさか、こんなに早く息子と一緒に任務を行えるなんて。忍び冥利に尽きるってモンだ。オレは幸せモノだな。




++




息子との初めての任務を終え、自宅に戻って来た。息子のカカシはやぱり、天才で予想以上の働きをしてくれた。スリーマンセルで一緒にいた、この子の師・波風ミナトも絶賛していた程だ。

自分の息子が褒められるのはとても嬉しいコトだ。嬉しすぎて、オレは鼻の下が伸びる勢いだった。


ミナトが報告書を提出すると言ってくれたので、カカシと二人で家路に着いた。

オレは共にやった任務のお祝いでもしたかったのだが、家に帰るとカカシはすぐに風呂に入り、身支度を始めてさっきからずっと等身が映る鏡の前で、口布を降ろした自分のカオを見つめている。いや、睨めっこしたり、笑ったり、髪の毛を整えたり。

とにかく、鏡の前で忙しそうだ。いつもはこんなに念入りに鏡なんて見る子じゃない。跳ねた髪だって気にしない子なのに。それが不思議だった。



「……カカシ、鏡に向かって何しているんだい?」

カカシの側に寄り、身体を屈めてカカシと同じ目線になって尋ねる。鏡にはオレとカカシの二人が映っている。同じ銀髪の髪、似たカオ。どっからどうみても親子だ。その息子は天才忍者。やっぱり自然と表情が緩んでしまう。

ニコニコしながら、カカシに尋ねたのだが、カカシはオレをカオを見て、「あー」とか、「うー」とか、カオを微かに頬を赤くさせて照れた。その表情も可愛いから、抱きしめたくなる。なんたって、可愛い息子だし。

そんなコトを考えていると、カカシがオレの脳天をぶち破るようなコトを言った。




「あのね、おとうさんにはないしょ。うふふ。」

ものすごーく嬉しそうに言って、両手で手を押さえた。言いたいけど内緒。そんな表情だ。



それを見たオレは身体に雷が落ちたような感覚になった。




か、カカシが、オレに秘密を…!!!




息子が初めて親に内緒なんて言うから、ショックで固まっていると何故か、さっきまで一緒に任務に同行していた波風ミナトが家にやって来た。

「カーカシ♪お待たせvvさぁ、行こうか。」

居間の扉に手を置いて、ミナトがニッコリ微笑んでカカシに話し掛けた。

「うわぁーい!先生、行きます〜♪」

カカシは嬉しそうに飛び跳ねて、口布を元へ戻し、すぐにミナトの側に駆け寄っていく。

「か、カカシ…!ミナトと何処へ行くんだ…!?」

フルフルと震える手をカカシに差し出しながら言うと、カカシは振り返り、また微かに照れたような表情を見せる。


「うふふ。おとうさんにないしょー。」


嬉しそうに言った後、居間から出て行った。その言葉を聞き、心臓が止まる勢いで驚いてしまった。

「そ、そんな…内緒って…!」

ガックリと肩を落としながら呟くと、ミナトが側に駆け寄って来た。

「あー、サクモさん、そんなに落ち込まないで下さいよ。」

「……し、しかしだな!ミナト!カカシが秘密を…!」

カオを上げ、ミナトに訴えると、ミナトは苦笑いを浮かべた。

「あー…カカシにはバラしたら怒られるから、内緒ですよ?」

事情を知っている様子のミナトが口元に人差し指を立てる。何でお前は知っているだ!とか、色々文句を言いたかったが、ココはグッと堪えて頷いた。

「あのね、カカシ、恋しちゃったみたいで。今からその子に逢いに行くんですよ。」

「な、なんだ…!グフッ!」

驚きのあまり、大声を出そうとしたら、ミナトがオレの口を手で塞いだ。

「もう、声が大きい!玄関にいるカカシにバレちゃうでしょう?」

本当に内緒ですよ?とミナトは何度もオレに念を押したが、オレの脳内には入って来なかった。




驚いて固まっている間にミナトとカカシは家から出て行ったようだった。




カカシの恋の相手を知る為、オレは急いで二人の後を追った。


すると、あの三代目に可愛がられている海野さん家に行くではないか!



庭が一望出来る大樹に飛び乗り、そっと木陰から見ていると、6歳のカカシが自分よりももっと小さい子供の手を引きながら、庭に現れた。


「イルカー。カカシくんの言うコト聞かないとダメよ〜。」

家の中から、女性の声が聞こえた。恐らく海野さんの奥さんだ。

「あーい。カカチのいうこと、聞くの〜。」

と、可愛らしい声で返事をした。あれが海野さんの息子だ。そう言えば、この家にはあの子以外、子供はいなかったような………え?息子?

って、コトはこの子がカカシの恋の相手ってコトか!?


可愛い息子が男に恋したと言う事実を知り、驚愕したオレは気配を殺すのも忘れてしまった。おかげで、庭にいたカカシにも家の中にいたミナトや海野さん夫婦にも知られてしまった。大樹の枝にいるオレをカカシが見つけて、声を掛けて来た。

「あー、おとうさん!付いて来たんだ!?」

「あ、そ、その………」

何と返事していいのか分からず困っていると、庭先にミナトも海野夫妻も出てきた。

「あれ?サクモさんも来ていたですか〜?」

穏やかな口調で海野さんが声を掛けてきたので、いい加減、大樹から飛び降りるコトにした。

庭へと降り立ち、どう返答しようかと、悩んでいると、海野さんの息子さんの手をしっかりと握ったカカシが眉間に皺を寄せている。

「もー。おとうさんには、ないしょって言ったのに〜。」

ブーと。カカシは可愛く頬を膨らませて怒っている。



カカシ、眼を覚ませ!相手はいくら可愛いからって言っても男の子だ!結婚出来ないぞ!

男同士って言ったら、迫害されるんだぞ!?変態扱いだぞ!?止めるんだっ!カカシっ!!



と、言いたかったけど、口をパクパクと動かすコトしか出来なかった。何故なら、カカシはしっかりと海野さんの息子・イルカくんの手を握って嬉しそうだったから。


「……イルカくんと一緒のカカシはそりゃもう、嬉しそうなんですよ。だから恥ずかしくて、サクモさんには言えなかったみたいですよ?」

オレの隣に立って、ミナトがフォローの言葉をくれる。それを聞き、身体の力が抜けてしまった。



本来なら、可愛い息子の道ならぬ恋を止めるべきだが、この時のオレは何も言わなかった。


カカシはまだ6歳の子供だから、大きくなれば男同士がダメって事も分かるだろうし、もしかしたら忘れるだろうと思っていた。



が、それはら約25年後、三途の川の前でキャンプファイヤーをしている時、延々と聞かされたのは、その男の子とコトばっかりだった。



「でね、イルカ先生がね〜。ベッドの中じゃ…あ、これは父さんには内緒だな〜。うふふ。」


鼻の下を伸ばして、嬉しそうに男同士の夜の営みの話をしようとする息子を見て、ガックリと肩を落とす。

やはり、あの時、力ずくでも止めておけば良かったと思った父だった。







End








2009.06.16



サクモお父さん、親ばか編。初めて書いた気がする!(笑)
サクモお父さんが出るといつも哀しくて真面目な話ばっかりなので、今回は超親ばか編ってコトです(笑)
このお父さんはノーマルなのかな??息子の将来案じてるし!(汗)
まぁ、たまにはいいかな〜(あはは)

仔カカシに「おとうさんには、ないしょ。うふふ」と、頬を染めて言ってほしかったんです!(笑)

って、オチもクソもない話で失礼しました〜。


まさに、はたけ親子祭!!
ろくさん、ありがとうござます!!
多くは語りますまい。
さあさあ、皆さん! 親ばかサクモパパとうふふ仔カカを愛でましょう〜。

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