イノセント

屈辱のために噛みしめているせいで、はたけサクモの唇には紅く血が滲んでいた。
「噛んではだめです。痛いでしょう?」
自分が苦痛をこらえているような表情で、波風ミナトは、サクモの唇に舌を這わせ、血を舐めとる。
接吻を避けるために首を動かすことさえ、サクモには許されない。
全裸にされ。
両手首を頭上で一つに纏められ。
両膝を折り、大きく広げた格好で固定され。
寝台に縛りつけられ、サクモはミナトに陵辱されつづける。
「あなたがいけないんです。おれを子供扱いして、ちゃんと男して見てくれないから!」
サクモを穿ちながら、青い瞳が潤む。
だって、子供だったではないか。
自来也の弟子の、小さな、可愛らしい男の子だったではないか。
サクモは、その語をつむぐことも出来ない。
「は、あ、ああ」
奥の蕾は、勝手に収縮して雄を締めあげ、脳は、勝手に快感を告げる。
「また、前が大きくなった。ねえ、サクモさん、そんなに気持ちいい?」
「も、やめ…」
掠れた声を、サクモはあげる。
どのくらいの時間が経っているのか、サクモにはわからない。
昼なのか、夜なのかすら。
カカシが帰ってくる。
幼いながら、忍者として任務をこなしているカカシが、家に戻ってくる。
カカシに知られてはならない。
その念だけで、サクモは、なんとかミナトを振りはらおうとする。
ミナトは嘆息した。
「こんなに身体は歓んでるのに、まだ、おれだけを見てくれないんですね。何を考えているんです? カカシのこと? 任務のこと? だめですよ、おれのことだけ考えて」
やはり、子供ではないか。
熱い息を逃がしながら、サクモは正常な判断を保っている脳の隅で思う。
無邪気に独占欲を示して。
無垢なまでに、わがままな欲望をぶつけてくる。
ミナト、きみは、子供だよ。
音にしないサクモの声が聞こえたかのように、ミナトは泣きだす寸前の幼児のような顔をして、サクモを深くえぐった。

サクモは瞳を閉じる。
おちていく、おちていく。
わがままなこどもの手の中に、自分は、おちていく。
わがままな愛に、蕩かされる。

戻る