銀より白く

親子だから当然、というレベルをこえて、父はたけサクモと息子はたけカカシはそっくりだった。
サクモが幼い頃はカカシそのものだったのだろうと想像できるし、カカシが成長したらサクモそのものになるのだろうというのも予測できる。
普段は、相似形のような二人が、同じ動作をしているのを見ると、両方を同時に抱きしめたくなる波風ミナトであったが。
同じ難しい表情をして。
同じような格好で、床にジグソーパズルを組み立てているのを見ると、ミナトは、げんなりとしてくるのであった。
サクモもカカシも凝り性だ。
一つ事に集中すると、他のものを顧みない。
特に、サクモがミナトを見てくれなくなることが許せない。
そして、今日は、揃って、ただ真っ白なピースを広げている。
こぼれた牛乳?
雪景色?
名画ならまだしも、そんなものを組み立てて、何が楽しいのか、ミナトにはさっぱり理解できない。
ミナトは、しばらく睨んで、形を暗記すると、まずサクモのほう、そして、カカシの分も、あっというまにピースを嵌めこんでしまった。
木の葉の黄色い閃光の名に恥じない、早業だ。
「「考えて、やってたのに!」」
サクモとカカシの声が合う。
もし、任務や暗号なら、サクモもカカシも、今のミナトと変わらないスピードで解くだろうが、あくまで趣味として、楽しんでやっていたらしい。
「部屋が片付かないから、ジグソーパズルは禁止します」
有無を言わせない声音で、ミナトは宣言した。

かわりにテトリスを与えたので、カカシは、それ以上、ミナトに異議を唱えなかった。

サクモには、床の中で。
「欠けたピースを補いあいませんか?」
とミナトが甘く囁き、黙らせてしまったのだった。

高花ろく様、パズルネタ、ありがとうございます!
夕凪玖瑠璃様、リクエスト(古文も!)、ありがとうございます!
お二人に捧げます。

銀(しろがね)より白し(古文バージョン)
いと似たる小さきちごと大きなる親の、同じうにかけらを嵌めて、頭(かしら)を傾(かたぶ)けたる、うつくしきにうつくし。
しかるに嵌め絵ばかり覗きて、ひとを見ゆること無かりせば、憎きに憎し。
形を覚ゆることいと早き技にて嵌めたりければ、ちごも親も嘆きたり。
ちごに玩具を与えたり。
親に「そちこちのかけら、埋めあわんや」と言ひたりければ、物言わざりけり。

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