破壊天使

大天使は、歌って踊りだしたら止まらない。
そして、歌も踊りもよく知っている。
ラファエルとガブリエルは、ウインクを正確に再現中である。
「いいよね、いいよね〜。切なすぎるバラードが、友達のラインを壊すんだよ」
天使長ミカエルは、羽をパタパタさせて同調している。
「こういうことですか」
いつも通り、眉一つ、動かさず、ウリエルはミカエルにキスをした。
「私、ミカエル様に惚れてます」
やはり、ウリエルは顔色一つ変えず、表情筋一つ、動かさない。
ラファエルとガブリエルは、ウインクを再現しているからではなくて、顔も動きも固まってしまった。
ミカエルは、息も止まっている。
天使じゃなければ、昇天していた。
破壊天使ウリエルは。
友達のラインどころか。
その場の空気も、職場の上下関係も。
平気で破壊したのだった。

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