熱い雪 3

一瞬、湯煙に姿が隠されるサクモを、ミナトは後ろから抱きしめる。
ミナトの雄は、どうしようもなく膨張していた。
「抱きたい」
押し殺した声を出すミナトに、サクモは首を捻って、こどものような表情で言う。
「風呂では、からだをきれいにするんですよ。ここでは、だめです」
「これ以上、どう、きれいになるつもりです?」
ミナトが指でくすぐっても、サクモの雄は全く反応しない。
「ミナトが、きれいにしてくれます」
だいぶん見慣れてきた、ふわりとした笑みで、サクモは言う。
ミナトは、自分が逆らえないことを知った。
欲望をチャクラで抑えこみ、とろけるように身を預けてくるサクモの皮膚と、髪を洗う。
絹のような肌、絹糸のような髪。
何もかもが、ミナトの欲をかりたてる。
正常を保つためのチャクラの消費で、したことなどない湯あたりをしそうだった。
腕に抱きこむようにして、浴槽につかると、サクモはミナトの首に腕を巻きつけて、キスを仕掛けてくる。
「キスは、ここでしてもいいんですか?」
水の味がする接吻を繰り返しながら、ミナトは問う。
「キスは、したくなったら、します」
くすくす、と声を立てて、サクモは笑う。
「限界!」
ミナトは叫ぶように宣言し、サクモを抱いたまま、湯から出る。
浮力を借りなくても、楽に運べた。
ミナトが、腕力に特にすぐれているのは確かなのだが、身長はそんなに変わらない男のからだにしては、軽すぎる。
「あなたは、ほんとうに…」
人なのですか?
その問いは、口の中で消える。
「サクモ、です」
サクモは、また彼らしい笑みを見せた。

雫を拭うのもそこそこに、冷えた廊下を、全裸の男が全裸の男を運ぶ。
サクモも不満をとなえることはなく、指と単語で、向かうべき部屋を示す。
指示された部屋の、大きな寝台に、ミナトはサクモをそっと降ろした。
すぐに、身をかぶせる。
サクモのからだじゅうに口付ける。
甘い。
どこもかしこも、甘い。
甘い、とミナトは感じた。
「ん」
白い喉を反らして洩らされる喘ぎは、ミナトの昂ぶりをさらに強固にする。
「待てない」
ミナトは、サクモの奥をおざなりにほぐしただけで、貫いた。
こんなに余裕がないのは、初めてだ。
こどもでしかなかった最初も、相手の導くままに性技をこらしてから交わった。
欲望だけに支配されたのは、これが、初めてだった。

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